故郷・皆生温泉へ。潮の香りに包まれる「菊乃家」で過ごした穏やかな時間
6月の初め、故郷鳥取の皆生温泉へ行ってきました。
今回宿泊したのは、皆生温泉の旅館「菊乃家」さん。昔から親しまれている旅館ですが、館長自ら生ライブを開催するなど、どこか遊び心があって温かい雰囲気が魅力で、人の温もりを感じられる宿です。

到着した日はあいにくの空模様。風もかなり強く、海は白波が立っていました。
それでも旅館の目の前に広がる日本海は、やはり特別です。7月には海開きを迎える海水浴場ですが、この日は人影もまばら。少し荒れた海を眺めながら、「もうすぐ夏なんだな」と季節の移り変わりを感じました。
菊乃家の楽しみといえば、やはり温泉。
皆生温泉は海中から湧きだしているので、塩分を多く含んだ「塩湯温泉」です。体が芯から温まり、お風呂から上がった後もぽかぽかが長く続きます。この塩湯が我が家はみんな大好きで、帰省すると必ず入りたくなる温泉です。
夕方まで吹き続けていた風も、夜になると不思議なくらい穏やかになりました。
せっかくなので家族で浴衣に着替え、海岸まで散歩へ。
昼間とはまったく違う表情を見せる夜の海は、とても幻想的でした。波打ち際に寄せる波の音だけが静かに響き、水平線にはイカ釣り漁船の灯りがいくつも浮かんでいます。

この光景は、子どもの頃から見慣れた故郷の風景。
遠くに並ぶ漁火を見ると、懐かしい気持ちが込み上げてきます。大人になっていろいろな場所へ出かけるようになりましたが、この景色だけは特別で、「帰ってきたな」と実感させてくれる風景です。
娘も赤い浴衣を着て、波打ち際を嬉しそうに歩いていました。

暗い海を前に立つ小さな後ろ姿は、親の目にはとても印象的でした。きっと本人にとっても、いつか思い出に残る夜になってくれたら嬉しいなと思います。
海岸では花火を楽しんでいる人たちの姿も見かけました。
初夏の夜風に包まれながら聞こえる笑い声や花火の音は、夏休みが近づいてくることを感じさせてくれます。
翌朝は再び雨。
空は一面の雲に覆われ、波はさらに高くなっていました。前夜の穏やかな海とはまるで別の表情です。同じ場所でも、時間や天気によってこんなにも雰囲気が変わるのが海のおもしろさなのだと改めて感じました。

観光地としての皆生温泉ももちろん魅力的ですが、私にとっては故郷そのもの。
潮の香り、波の音、水平線に浮かぶ漁火、そして体の芯まで温まる潮湯温泉。その一つひとつが、子どもの頃から変わらない大切な記憶です。
派手な観光スポットではないかもしれません。でも、何度訪れても心がゆっくりほどけていく場所があります。
菊乃家で過ごした一日は、そんな皆生温泉の魅力を改めて感じさせてくれる時間でした。
今年ももうすぐ海開き。夏のにぎやかな皆生温泉ももちろん素敵ですが、少し静かな初夏だからこそ味わえる、ゆったりとした時間もおすすめです。故郷だからこそ伝えたい、この海と温泉の心地よさを、ぜひ多くの方に感じてもらえたらと思います。
